中国茶ことはじめ

中国茶の基礎知識

■産地

お茶の樹は、温暖で湿潤なところが好きな植物です。

世界地図で見ると、赤道を挟んで北緯40度から南緯40度の間にあり、“ティーベルト(TeaBelt)”と呼ばれます。

中国茶台湾茶の産地も、このティーベルトの範囲内にあります。

お茶は、その土地の土壌、そして文化と深く結びついていて、それら’テロワール’がお茶の風味を決める重要な要素の一つになっています

■そもそもお茶とは

ひと言でいえば、お茶の樹、つまり、「チャノキ(学名:カメリアシネンシス)の葉」を原料として製造されたものの総称です。

ということは、「麦茶」「黒豆茶」「ルイボスティー」などは“茶”や“ティー”という言葉がつくものの、原材料が「チャノキの葉」ではないので、お茶ではありません。それらは中国語では「茶外茶」、日本語では代用茶とも呼ばれ、本来的なお茶とは区別されています。

お茶であることの絶対条件は一つ、「チャノキの葉」が原料であることです。

その個性の違いは、主に「製法」「品種」「産地」から生み出されます。

■中国茶の分類

数千の銘柄があると言われる中国茶ですが、個性と製法の違いによって大きく6つグループに分ける考え方があります。

1:緑茶Green
Tea
2:黄茶Yellow
Tea
3:黒茶Dark
Tea
4:白茶White
Tea
5:烏龍茶Oolong
Tea
6:紅茶Black
Tea

花茶
Scented Tea
※花茶は、ベースとなるお茶に花で香りを付けたものです。
再加工茶ともいいます。

製茶の際、茶葉がもともと含有している「酵素」を利用するか、しないか、利用する場合はその程度が、お茶の個性を決めるのに大きく影響します。 また、このなかで、微生物が関与する本来的な“発酵”の工程があるのは黒茶類だけで、ほかの茶類の製造工程に微生物は関与しません。 お茶は全て「チャノキの葉」を原料としますが、どのように製茶するかで、香り、色、味、形といった個性が異なるお茶に仕上がり、緑茶にも、紅茶にも、烏龍茶にもすることができます。

■お茶のルーツと伝播

お茶のルーツは、中国大陸。およそ5000年前、神話の時代に薬用とされた「チャノキの葉」が利用の始まりと言われています。 薬用から始まったお茶は食用を経て飲用となり、飲み方も変化します。例えば今、私たちが日常行っている“乾燥した茶葉にお湯を注いで抽出したお茶水を飲む”という方法になったのはおおよそ明の時代からです。 お茶は長く、皇帝や貴族、豪族など限られた上流階級の人々が嗜むものでしたが、唐代から市民の間にも広がっていくと同時に、北方のお茶が作れない地域に暮らす人々にとっては健康を守る必需品となり、時代や地域を超えて生活のなかにある貴重な存在でした。

そして、この貴重なお茶は中国大陸から日本を含むアジア、ヨーロッパと、世界に広がっていきます。その広がりかたは、その国で“お茶”を表す言葉が「チャ(cha)」か「ティ(te)」のいずれの系統であるかによって、伝播のルートが分かります。 伝播のルートは大きく「陸路」と「海路」、2つの系統に分けられます。現在の広東省のあたりから陸路で伝わったのが「cha」系統、一方、船の出航地であった福建省アモイから海路で伝わったのが「te」系統。どちらも、その出発地で使われていた“お茶”を意味する言葉の発音が元になっています。 ちなみにポルトガルが海路で伝わった地であるのに“cha”と発音するのは、大航海時代、彼らが最初にお茶を仕入れた先が広東のマカオだったことによります。

5000年前、南方にあったチャノキから始まった“お茶の世界”は、時を超え、陸を伝い、海を越えて、今日の「私の1杯」に繋がっています。

淹れ方の目安

■中国茶を淹れる際の、ポイントは3つ。

Point 1:お湯の温度

→お茶の種類にかかわらず、湯温は高め。

高温で淹れると香りがよく立ちます。

“香り立ちの良い中国茶”の特徴を引き出すことができます。

■「茶類ごと、お湯の温度」目安表

Point 2:茶葉の量とお湯の比率

基本の目安は「1gの茶葉に、100㎖のお湯」

中国茶は、お茶の種類によって乾燥茶葉が球形のものから、ふわっと大きいものまで色々あるので、例えば同じ重さでも“見ため”は異なります。

この“目分量”を基準に、それぞれの茶葉の個性や、お好みの風味に合わせて「茶葉の量とお湯の比率を」調整してみてください。

Point 3:抽出時間と煎の回数

中国茶は、1煎だけで出し切らない、出しきれない。

どの茶類でも中国茶の多くは、茶葉が揉み切られる製法を取っていないので、比較的高温で淹れても茶葉の内容物が一度に抽出されにくいです。

 

■茶器の種類、容量別の「淹れ方」目安表

この3つのポイントを押さえると、その茶葉の良さを余すところなく引き出して、淹れることができます。

中国茶ことはじめ

中国茶器の名称と使い方

■杯組(はいぐみ)

品茗杯(ひんめいはい)

→お茶水を味わうための杯。飲杯や茶杯とも呼ばれます。

聞香杯(もんこうはい)

→お茶の香りを聞くための器。聞香杯に注いだ茶水を品茗杯に移し、空になった聞香杯に残った香りを聞いて楽しみます。香りを逃さないために、細長い形や、くびれた形をしています。

■茶道具

茶挟(ちゃばさみ)

→杯を湯中で洗うときや、茶壷から使用した茶葉を取り除く。

茶針(ちゃばり)

→茶壷の注ぎ口に詰まった茶葉を取り除く。

茶匙(ちゃさじ)

→茶荷から茶葉を移し入れる。

茶則(ちゃそく)

→乾燥茶葉をすくい入れる。

茶漏斗(ちゃろうと)

→茶葉を茶壷に入れる際、茶葉が外にこぼれるのを防ぐ。

茶荷(ちゃか)

→乾燥茶葉をのせて、ここから蓋碗や茶壷に移し入れる。

茶海(ちゃかい)

→蓋碗や茶壷で淹れた茶水を一旦ここに注ぎ切り、茶葉が湯に浸かり過ぎないようにすると同時に、注ぎ分ける際に均一にする役目も果たす。公道杯とも呼ばれる。

■蓋碗(がいわん)

蓋つきの茶碗。蓋碗は2通りの使い方ができる茶器で、1つめは、「すすり茶碗」として。2つめは「急須」として使えます。これ一つでどのタイプの中国茶も淹れて飲むこともでき、茶葉の形状や茶水の色を鑑賞することもできる万能茶器です。自分の扱いやすい大きさ、形のものを選ぶと、より快適に使うことができます。蓋碗で淹れると、その茶葉が持つ香りをダイレクトに感じられるのも魅力。使い終わったあとの茶殻の片付けやお手入れも簡単です。

■茶壷(ちゃーふー)中国語でいわゆる急須のことを指します。陶器、磁器、ガラスなど素材は色々ありますが、なかでも江蘇省宜興の紫砂で作られた「紫砂茶壷(しさちゃーふー)」はとても有名です。

■紫砂茶壷とは

紫砂茶壷とは江蘇省宜興でのみ産出する陶土である、“紫砂”で作られた茶壷のこと。“紫砂”は焼成されると水の粒子より小さく、空気の粒子よりは大きい微妙なサイズの“気孔”を無数に有する素地となり、これによって保温性と通気性の両面にすぐれた茶壷となります。烏龍茶やプーアール茶を淹れるのに最適です。紫砂茶壷は“養壷”して、使えば使い込むほど味わいが出てくる茶器です。

・“養壷”をして、茶壷を育てる楽しみ

養壷(やんふー)とは、読んで字の如く“茶壷を育てること”。

内養:お茶を淹れるたびに茶水が茶壷の内側にある“気孔”に少しずつ浸み込んでいきます。ある特定のお茶を淹れ続けると、そのお茶に対して、その茶壷でしか出せない風味の茶水が淹れられる茶壷に育っていきます。

→茶葉の香りが移るため、風味の異なる茶葉は同一の茶壷で淹れない

外養:毎回、使いおわりには、茶壷の外側を柔らかい布でしっかりと磨きます。やがて茶壷の表面に美しい艶が生まれ、優雅な風格が備わってきます。

→ケアを怠るとシミのようなまだらな模様が現れます

・茶壷のお手入れ

洗剤などを使うと“気孔”に洗剤が染み込む可能性がありますので、洗浄の際は、熱湯で洗い流すだけにしてください。

茶渋の溜まりやすい注ぎ口、蓋の周り、持ち手と胴のつなぎ目あたりは、歯ブラシなどで、軽くこすると良いでしょう。

たくさん使って、気長に育ててみてくださいね!

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