中国茶ことはじめ
中国茶の基礎知識
■中国茶の分類
数千の銘柄があると言われる中国茶ですが、個性と製法の違いによって大きく6つグループに分ける考え方があります。
花茶
Scented Tea※花茶は、ベースとなるお茶に花で香りを付けたものです。
再加工茶ともいいます。
製茶の際、茶葉がもともと含有している「酵素」を利用するか、しないか、利用する場合はその程度が、お茶の個性を決めるのに大きく影響します。 また、このなかで、微生物が関与する本来的な“発酵”の工程があるのは黒茶類だけで、ほかの茶類の製造工程に微生物は関与しません。 お茶は全て「チャノキの葉」を原料としますが、どのように製茶するかで、香り、色、味、形といった個性が異なるお茶に仕上がり、緑茶にも、紅茶にも、烏龍茶にもすることができます。
■お茶のルーツと伝播
お茶のルーツは、中国大陸。およそ5000年前、神話の時代に薬用とされた「チャノキの葉」が利用の始まりと言われています。
薬用から始まったお茶は食用を経て飲用となり、飲み方も変化します。例えば今、私たちが日常行っている“乾燥した茶葉にお湯を注いで抽出したお茶水を飲む”という方法になったのはおおよそ明の時代からです。
お茶は長く、皇帝や貴族、豪族など限られた上流階級の人々が嗜むものでしたが、唐代から市民の間にも広がっていくと同時に、北方のお茶が作れない地域に暮らす人々にとっては健康を守る必需品となり、時代や地域を超えて生活のなかにある貴重な存在でした。
そして、この貴重なお茶は中国大陸から日本を含むアジア、ヨーロッパと、世界に広がっていきます。その広がりかたは、その国で“お茶”を表す言葉が「チャ(cha)」か「ティ(te)」のいずれの系統であるかによって、伝播のルートが分かります。
伝播のルートは大きく「陸路」と「海路」、2つの系統に分けられます。現在の広東省のあたりから陸路で伝わったのが「cha」系統、一方、船の出航地であった福建省アモイから海路で伝わったのが「te」系統。どちらも、その出発地で使われていた“お茶”を意味する言葉の発音が元になっています。
ちなみにポルトガルが海路で伝わった地であるのに“cha”と発音するのは、大航海時代、彼らが最初にお茶を仕入れた先が広東のマカオだったことによります。
5000年前、南方にあったチャノキから始まった“お茶の世界”は、時を超え、陸を伝い、海を越えて、今日の「私の1杯」に繋がっています。